日 時:6月28日(土)14:20~

場 所:滑川交流センター大会議室

参 加:107名

講 師:藤野真紀子(料理研究家)



 

「食育」って何だろう。平成17年に公布された「食育基本法」の前文には、こう記されています。

 

【二十一世紀における我が国の発展のためには、子どもたちが健全な心と身体を培い、未来や国際社会に向かって羽ばたくことができるようにするとともに、すべての国民が心身の健康を確保し、生涯にわたって生き生きと暮らすことができるようにすることが大切である。子どもたちが豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身に付けていくためには、何よりも「食」が重要である。今、改めて、食育を、生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきものと位置付けるとともに、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てる食育を推進することが求められている。

 

  ―― 中略  ―― 

 

「食」に関する情報が社会に氾濫する中で、人々は、食生活の改善の面からも、「食」の安全の確保の面からも、自ら「食」のあり方を学ぶことが求められている。また、豊かな緑と水に恵まれた自然の下で先人からはぐくまれてきた、地域の多様性と豊かな味覚や文化の香りあふれる日本の「食」が失われる危機にある。

 

  ―― 中略  ――

 

「食」に関して信頼できる情報に基づく適切な判断を行う能力を身に付けることによって、心身の健康を増進する健全な食生活を実践するために、今こそ、家庭、学校、保育所、地域等を中心に、国民運動として、食育の推進に取り組んでいくことが、我々に課せられている課題である。

  

  ―― 中略 ――   】

 

果たしてこの「食育」が、本日のテーマ「旬」と繋がりがあるのだろうか?

 配布の資料「旬とは」に基いて、最近の食事情を憂慮しながら藤野さんの講演は始まりました。

 旬とは、ある食材が一年で最もおいしく、栄養価が高くなる時期のことで、人間がその季節に必要としている栄養素をたっぷり含んでいる時期です。

 例えば春、自然は目覚め、人間の体も新陳代謝が活発になります。旬野菜は、新芽、新葉を食べる『芽もの野菜』で、胃を活発に働かせ、人間の眠っている細胞を起こしてくれます。

そして、暑い夏に必要な水分とビタミン類を多く含む『ぶらり野菜』は、体を冷やし、むくみをとり、暑さで弱った胃を刺激してくれます。魚介類も良質なたんぱく質や脂肪酸を提供してくれます。

 古来から、人は生れ育った地域でとれた食べ物が最も体にふさわしく、地球に優しい「地産地消」と、身体と大地は一体のもの(身土不二)であるという食の知恵があります。

今ではハウス栽培、産地の移動、外国からの輸入等によって、殆どの食材を旬に関係なく食べる事ができます。

これは、食の安全、自給率の低下と引換えになっている事にもつながります。また生産地と消費地が遠くなると輸送にかかわるエネルギーがより多く必要になる等から、地球環境に大きな負荷をかける問題が指摘されています。

 『国内農業生産による供給について』の資料には、国内産だけで一日2020Kcal供給する場合の食事のメニュー例が載っています。焼き芋の主食や蒸かしイモの副菜と、イモ類を中心にせざるを得ないようです。また、牛乳やタマゴ、肉等は、たやすくは口にできません。

 やがて、海外からの輸入も充分な量が確保できなくなるといわれています。

 日本の食文化に趣があるのは、旬が彩りを添えているからなのです。 我が家のメニューに旬のものを一品取り入れてみませんか?それが、日本の生産農家に「がんばって!」と、エールを送ることになり、国内自給率UPにむけてつながることになリます。

 四季折々の旬を知り、地産地消、身土不二を意識し、本物の食を知り、食の安全を見抜き、体の中にパワーとおいしさを取り込むことは、全てECOにつながるのです。

 まさに、「旬の食材は、優れもの」なのです。